稲荷大神(お稲荷さん)への信仰は、我々日本人がもつ最も代表的、普遍的なものであり、最も大切な生命に対する祈願であるといえます。稲荷(いなり)とは稲成り(いねなり)であり、稲が成長するその神秘とさえいえるエネルギーをあらわしています。
人間を含む全ての生命が生まれ、成育するのは我々が生かされているこの大宇宙、大自然に確かに存在する人智を超えた神秘の力によるものです。そして連綿と繋がるその無限の生命力を稲荷大神の御神威として信仰するのが稲荷信仰です。
近年、科学技術の進歩、社会の大きな変革により人の心も大きく変化しました。当然時代の変化とともに社会常識、道徳といったものは変化することはありますが、時代の価値観に係わらない、変わることのない「人としてのあるべき姿」、「人の心」、といった【真理】とでも言うべきものは存在します。しかし世界状況、犯罪の多様化低年齢化、を見ても現代においてこの【真理】が忘れられています。
そんな中いま人々の価値観は、物質的な豊かさから、心の豊かさへ移りつつあります。『和風』、『精神世界』がブームにもなっていますが、日本では古くからこの世の全てのものに神々が宿るとし、それを八百万の神(やおよろずのかみ)と自然を敬い、自然と共に生き、先人を敬い祖先を祀り、感謝の心、祈りの心を持って生活していました。今まさにこの古き良き日本の心が全世界で必要とされています。
祈りの心というものは単なる気休めではありません。人間は誰でももともと無限の潜在能力を自分の内に持っています。これは別の言い方をすると我々人間の内には神の力が秘められていると言い換えられます。
人間の存在をさかのぼって考えてゆけばわかりますが、人間は永い年月をかけて原始生命から進化して今の我々に至ります。その原始生命が誕生する前は地球に生命はなく、砂・岩のかたまりでした。さらに地球ができる前は大宇宙に漂う塵でした。そして宇宙自体も気の遠くなる程昔ビッグバンにより誕生しました。(現代科学ではそのように考えられている)
宇宙の誕生から順に考えると、その塵も砂も岩もそして私たち人間も元々同じものから誕生している、同じものでできている、すなわち人間の内にも小宇宙が存在する、神の力が内在すると考えられます。
素直な気持ちで祈るということは、潜在能力を引き出すということ、人間の内にある無限の大宇宙の力を使うということです。それが信仰であり、人間が幸せとなるべき、真理に基づいた生き方なのです。
現代社会に生きる私たちに必要なもの。それは謙虚・感謝・祈りの心
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